ブナ北限の里「くろまつない」をまるごと体験できる博物館 お問い合わせ
ブナ北限の里
黒松内町ブナセンター
HOME 施設案内 アクセス リンク
ブナセンターって
どんなところ?
ブナセンターへの
行き方・周辺地図
スタッフがおススメする
ホームページ
    PICKUP VOICE
    黒松内町にお越しの際には、お気軽にお立ち寄りください。スタッフ一同、お待ちしております。
 
 
  ブナの基礎知識
ブナってどんな樹?
ブナの分布
ブナの生活史
ブナ北限の謎諸説
ブナ林の様子
北限のブナ林
黒松内ブナ林の特徴
天然記念物への選定
ブナ林伐採の危機
国際ブナフォーラム
 
  ブナの基礎知識
 
  黒松内町のシンボル「ブナ」

北海道黒松内低地帯に分布する日本最北限のブナ林。
それらの特徴などを説明しています
 
 
  国際ブナ・フォーラム1993 in 黒松内
 
 
「国際ブナ・フォーラム1993 in 黒松内」のプログラム

 「北のブナ林の地元から語ろう」
漁業資源とブナの森

国際ブナ・フォーラム1993 in 黒松内」のプログラム「北のブナ林の地元から語ろう
第1会場
漁業資源とブナの森

場所
北海道黒松内町総合町民センター

座長及びゲスト
黒松内営林署長 石井 晴雄
寿都漁協参事 山本 潤
島牧村企画課長 藤田 章
弘前大学教授 沢田 信一

石井(座長)
それでははじめます。私はこの第一会場で進行役を務めさせていただきます、地元の黒松内で営林署長をしております石井と申します。ここでは分科会といいますよりトークタイムということで堅苦しい議論ではなくて気軽に楽しく意見交換していきたいと思います。
第一会場のテーマは「漁業資源とブナの森」ということで山奥の森林から沿岸の漁業資源という非常に幅の広い大きなテーマですけれども活発な議論を続けていきたいと思います。まず全体の話題を寿都の漁協道事に提供していただきましてその後に皆さんの関連した発言をいただくということで進めてゆきたいと思います。

山本
ただいま御紹介にあずかりました、ご当地とは隣町の寿都の漁協に勤めております山本と申します。憶面もなくこういった席に座って多少、後悔しております。というのも私自身この寿都への赴任が浅いものですし、また準備不足も否めません。果たして皆さんがたのトークタイムの口火を切るのにふさわしい提言ができるのか不安ではございますがよろしくお願いします。
私どもの寿都町というのは江差追分でも謡われてございます、女人禁制の離別の地ということで知られている町ではないかと思います。この町の基幹産業は名実ともに漁業でございまして、サケ・イカ・コウナゴまたウニ・アワビ等が中心になります。最近の漁獲高は4,700〜4,800トン、16億円前後で推移してございます。かつて寿都湾はニシンの漁の盛んなところということで当時の栄えた足跡は今でも残っております。ニシン御殿とか今日では及びもつかないような立派な倉庫、こういった建築物の中に当時の繁栄をうかがい知ることができます。ニシンは昭和30年(1955年)ぐらいにばったりと消滅いたしまして、当時にはピークで2万人くらいいた人口も時の流れに抗しきれない中で現在は4分の1以下の5,000人以下になって、過疎化の問題も心配なところです。
地形的には岩礁域が多く砂浜域がきわめて少ないのですが、岩礁地域ではアワビ、ウニ等が、砂浜域ではホッキ貝漁が行われております。さらに沖合いにいきますとヒラメ・カレイ・ソイ・イカ・タコさらにはホタテ貝のカゴ養殖漁も行われております。残念ながら近年沿岸域での生産量は減少傾向をたどっております。
この寿都湾に注ぐ生命線ともいうべきものが朱太川で、朱太川は河口域を除いてその大部分はご当地である黒松内町管内を流れ、本川流路の総延長43.5kmの中にアユ・ヤマメ等の淡水魚も数多く生息しています。寿都町漁協でも、水産庁北海道サケ・マスふ化場からの委託を受けて、サケおよびサクラマスのふ化放流事業を行ってきているところです。朱太川はスリ鉢状の盆地の中央部を流れる川で、支流も数多く、かつての流域周辺はブナ山だったと当時、樹木の伐採に従事した古老や猟師たちの証言も聞いております。
我が国の水産業は、国民の必要とする動物性たん白質の約半分を供給し、健康的(ヘルシー、セーフティ)でバラエティに富んだ「日本型食生活」の一翼を担う重要な役割を果たしてきておりますが、今後は「つくり・育てて・とる」沿岸漁業の振興を図っていくうえからも、河川や沿岸海域等での良好な自然環境が維持されることが不可欠の要件となっています。
近年、日本海全域に「磯やけ現象」という海の砂漠化が顕著に現れ、今後はこれらの原因の究明や、あるいはブナと酸性雨対策、魚付き林の育成、生活雑排水や畜産公害、アウトドア指向にともなう自然破壊やゴミの不法投棄、機能優先の公共工事、広葉樹林の減少などなど、良好な自然環境を維持していくうえでの課題も数多く、これまで以上に「里山のマチ」黒松内町と「海のマチ」寿都町は、ともに自然の恵みを享受する町として、相互に情報を交換し合い「自然にやさしい地域づくり」を実践していくことが重要であると提言いたしたいと思います。
海に生活の糧を求める寿都町の漁民として「魚付き林の育成」「河畔林の保護」ブナ林に代表される「天然林の育成・保全」を切望するとともに、これらの事業展開のためには「物」「心」両面にわたる協力・支援は惜しまないものです。なお漁協婦人部では木を植えて魚を増やすということで植樹もしており、町内の造林事業を営む方の助成も行っています。非常に要望のみ大きくてやっていることは少ないのですがぜひ黒松内町に頑張っていただきその時には我が町や漁協にも呼びかけていただきたいと思います。

座長
漁業は日本型食生活の一翼を担っていますが、その沿岸漁業を守るためには上流からの自然環境を守ってゆくということが大切であり、その為には里山のマチと海のマチの協力が大切であるとの提言でした。それでは柳沼さん何か、お話ししていただければ。

柳沼
道漁婦連では30周年を記念して植樹しております。今年で20万本を植えています。「浜の母さんが山へ出かけて木を植える」ことの意味や意義は大きいということを是非ご理解いただきたいと思います。黒松内町の方々が植樹を行うことは大変うれしいことです。寿都の魚はほとんど森のおかげと言っても過言ではなく、湾の魚は森のめぐみです。

座長
どうもありがとうございました。森のめぐみは海のめぐみでもあるというお話をいただきました。ご出席の皆様も是非、時間の方も限られておりますので発言をいただければと思います。

参加者
自然をもとにもどすという考えを持った人が集まることは大変よろこばしいことと思います。しかし植林を行う上で道や国の政策が大きく関わってきます。120町歩の植林をすることについてもどうしても針葉樹が中心になってしまい、関連町村が一体となって広葉樹を植えてゆこうとしてもそういった資金的な問題もあり進みにくいのです。町村の協力で道や国を動かしてゆかなくては、育ちの早い木を育てて炭鉱を支える時代は終わったのだと思います。

参加者
是非、営林署の方々の本音を聴きたいと思います。なぜ天然林を切るのかというようなことをです。

座長
ありがとうございました。まず最初の方は植林の際には国や道の針葉樹一辺倒の政策の融資には問題があるのではないかというお話でした。あとの方はなぜ天然林を切るのかというお話であったかと思います。
こういう席でお話させていただくのはどうかとも思いますが、営林署では山を4つに区分しております。そのうちのひとつがまず国土保全の為の森林、次が自然を維持するための森林、レクリェーションのための森林、それからいわゆる木材生産のための森林、これはもっぱらその機能を発揮するために森林を分けて管理しているわけです。ですからむやみに天然の木を切っているわけではなくてそれぞれの機能にあった森を伐採しています。
黒松内の営林署に関していえば木材生産林は全体の数パーセントにしかすぎず、択伐、抜き木というものですけれども自然に対するインパクトというのは非常に弱いのではないかと思います。ですからこうしたことを理解して頂けると営林署がむやみに天然林を切っている訳ではないことが分かっていただけるかと思います。お答えになったでしょうか。

参加者
 では保安林は切っていないんですね。

座長
 保安林というのはいろいろな保安林があります。その中でそれぞれ切っていい保安林と切って悪い保安林があります。法律で保安林の指定する意義に沿った森の管理の仕方をしています。

参加者
 水源管理はどの役割の保安林で担っているんですか。

座長
 いま申し上げました4つの機能区分というのはすべてについて水源涵養機能を果たしています。面としての森林が存在するのでそれぞれ水源涵養林として機能を担っているのです。

寿都町町長
 針葉樹、広葉樹のですね、それぞれが環境に与える影響についてお聞きしたい。針葉樹は広葉樹に比べると、というようなことを是非、分かりやすくお聞かせ願いたい。

沢田 
 まず一番はじめにいえることは今の漁業を考えた場合、この魚にとって栄養分の元になるものは川から来るだろうということになります。そのもともとすんでいる魚にはもともとの自然の森林がいちばんいいんだろうと思います。しかし営林署の方で針葉樹の方が高く売れるだろうということでそこに針葉樹と広葉樹の差が出てくるのだと思います。
 よく新聞をにぎわしているように台風のときの水の出かたにも針葉樹と広葉樹の根の張り具合とかで違いもあるでしょう。酸性雨の問題にしましても降ってきた雨が針葉樹の林に降ってきて土壌に流れる場合と、広葉樹の林に流れる場合とでは確かに実験上ではph濃度は広葉樹に流れた方が中性に回復するということがあると思います。やはり針葉樹に比べると広葉樹の方が、ブナだけではなくてその他の樹種やあるいは林床にも、雑草というか非常に多様性のある植物が生えています。そういうところからの養分の出方などもかなり違っていると思います。そういう違いは大きいと思います。できれば自然のままで漁業が支えられるような、もとの栄養源とかが流れるような川が流れるべきだと思います。一方で人間というのは木の住宅も作らなくてはならないし林産業というのも厳然としてあるし、人間が自然と調和してゆくためには針葉樹というのもある程度必要だとも思います。
 大事なのはどれぐらいのものを植えたらいいかというデータがきちんと出ていないということだと思います。どのぐらいの割合でしたらいいのか、伐採の方法などもそうとう昔から寿都湾のまわりで森林を切っていたと思います。私がおります弘前の岩木山ではブナ林は二次林でいままで何度も切られております。切られてもちゃんとブナが生えてくる林なのです。それは半世紀前から今の時代になって営林署に管理が移りますと、どんどん奥へ切って行きますし切ったあとにブナが生えてこない。同じように切っているんだけれどもブナが生えない。それは切りかたがぜんぜん違うんですね。ブナの林だと稚樹があって特に岩木山のようなところだと冬の間に木を切る。秋なり冬なりに切って雪の上をすべらせて外へ出す。そうしますと稚樹は残りますよね。そうすると林はまた再生してゆく。ところが今は集材やなにかにブルドーザーを使う。急激に一度に大きな面積を伐採する。非常に厳しいというかハードな切り方をする。すると林床のこの次を担う植物が残らない。そうすると今の杉を植えたりするような拡大造林が強くされないような時代になってももとの森林は戻りにくい。そういうところはササ原になってしまったり、土砂が流失してしまったりする。土砂が流失するというのはもう一つ、川と海あるいは森・川・海の関係で見てみれば海にいる生物にとっては、つねに良好な水と断えないでゆっくりと栄養分が流れてくることが必要なんです。それが急に土砂とともにどっと流れてしまう。あるときには林がなくなってしまい栄養分が流れなくなった。そういう自然のミネラルとかの供給が途絶えたりコンスタントに流れてこないというのは非常にまずいと思います。そういったいろんな問題が含まれていると僕は思います。

座長
 今のお話について何か御意見、御質問ある方いらっしゃいますか。

参加者
 私は函館で理科の教員をやっているものです。実は道南の海草はすべて標本としてもっているのですが、近年いってみますと驚くほど少ないんですね。ある種によっては絶滅したのじゃないかと思います。
 例えばヒトエグサの仲間などは皆無に近いです。それだけ水がだめになっている。海草は確実に少なくなっています。ただ陸の植物のように生態調査はしていませんから数量的にはいい表わせませんけれども。函館の場合、漁業のマチでもあるし海岸に接している面積も多いところですから海草の標本も採取しつづけています。しかし25〜26年前に比べるとまず海は死にかかっているといってもいいと思います。
 ホンダワラ、アワビ、ウニが豊富だった海が今はまず海草が少ないです。アワビ、ウニの飼料になる大切な飼料が皆無に近い。問題になるのは私有林が針葉樹に変えられていくわけですから杉をつくらないで広葉樹をつくる地主には、国がある程度を保障するという発想に転換してもらわなければならないところまで来ていると思います。営林署はもうけるために自然林を切る必要はないと思います。公有林だという考え方があるならば国と相談して広葉樹を植えていってほしいと思います。

沢田
いまのお話ですと営林署が悪者になってしまうということで、弁解させていただきますと、林野庁というのは独立採算なんですね。いわゆる木を切って売る。戦後の日本復興のために非常に木を切った。またそういうことのために営林署で金になる木を積極的に植えた。その為に原生林なり天然林なりを切り替えていったそういう過程があったわけです。それが今、何兆円でしたか林野庁は赤字の真っ赤なんです。切ってももうからない。また切ったあとの管理もできない、そういう現状なんです。
日本の林野庁というのは経営というか経済というのを基盤にやってきた。今ここで、その森林のあり方や今後の目的を林産業として持たなくてはいけないと同時に、随分まわりが変わってきているわけです。
例えば地球温暖化による炭酸ガスの問題、水の問題等いろいろ取りまく状況が変わって来たわけです。こういうことは営林署が一生懸命やっていてももうからないんですね。赤字が増えてゆくばっかりで。そういう中での、地元の人たちと漁業の人たちと営林署の人たちだけという地元の問題ではなく、国単位の問題だと思います。それを林野庁だけの独立採算だけでやれというのは無理があると思います。
 これからは地球をどうするかという問題になってくるのですが、林野庁・営林署の役割も変わってきて、それを担ってゆける国民的コンセンサス(合意)の中でお金をかけてゆくということが重要なことになってくるかと思います。

石井
 現在は国有林に関していえばほとんど針葉樹を植えていない状況にあります。択伐についても低い率で木を抜いてそのあとは自然の力を利用しています。まったく元に戻るということはないとは思いますが、天然の元に戻ろうという力で森林の回復を図っているのです。

参加者
 民間の山林はほとんど内地の業者が多くをしめています。だから規制や植林がうまくゆかず困っています。できたら切り方に規制を設けて欲しい。根こそぎ切ってしまってプルドーザーで運ぶ。山を畑に起こしたような状態で作業しているわけです。だから東京の業者が入ったあとは”キレイ”なものです。そして集材するのにブルでそこまで道をつける。一雨ふれば表土が黄色くなるくらいまで土壌が流れてしまう。これをなんとかしていかなければならないと思います。

参加者
 明治維新の時に森をきちんとしなかったことのツケが今きているとおもいます。50〜100年先のことを考えて今、3分の1を占める私有林を買いとってゆくべきだと思います。

柳沼
 20万本植えたといっても私の髪の毛と同じ、微々たるものです。是非、植林への補助事業をトドマツ・エゾマツだけではなく広葉樹を含めたものにしていってほしい。そうすれば全国の母さんたちも広葉樹を植えてゆくと思います。

沢田
 来年の天皇陛下の植樹はブナを植えるのだそうです。今まで営林の為の針葉樹ということだった。時間はどれくらいかかるか分かりませんがこれからは価値観を変えてゆき徐々に補助体制を変えてゆくことが重要だと思います。

石井
 今日は本当にありがとうございます。ここでご意見が尽せなかった分は是非、交流会にてもっと深めていただけたらと思います。ありがとうございました。


ブナの森と食文化

国際ブナ・フォーラム1993 in 黒松内」のプログラム「北のブナ林の地元から語ろう」
第2会場
ブナの森と食文化

場所
北海道黒松内町総合町民センター

座長及びゲスト
   黒松内商工会経営指導員 今井 寿光
   島牧村村長 永井 政一
    寿都町農政課長 斉藤 信一
北大大学院地球環境科学研究科 ガリー・ピラー
   青森県西目屋村職員 西沢 一司


今井(座長)
 それではそろそろ始めます。
 提言者を始めとして皆さんにブナ林の魅力についてお話しいただきまして、ブナ林を観光資源としてどう活用するか、どう活用する可能性があるのか。そういった話を伺いたいと思います。あるいはブナ林を観光資源として活用する際の危険性などについても研究していただければと思います。今日は皆さんからテーマに沿った課題や問題それから意見等をいただきまして、明日開かれますシンポジウムで論議いただく、いわば材料を提供するのが、この分科会の役割だというようなご理解をいただきたいと思います。なにぶん時間が限られておりますので、意見を集約するとかあるいは結論を導き出すといったところまでは、この分科会では求められていないという風に考えて進めさせていただきますのでよろしくお願いします。
 それでは提言者とアドバイザーをご紹介させていただきます。提言者としてテーマに沿った課題を提起いただいて、事例等の発表もいただきたいと思いますが、当町の歌才ブナ林よりも、もっと広大で立派なブナ林を持ちます。隣村の永井島牧村村長です。

永井(島牧村村長)
 どうぞよろしくお願いします。
 
座長
 次に皆さんの質問や意見に対して助言や解答を下さいますアドバイザーとして、始めに北海道の大学院で地球環境科学を研究されておりまして、ブナ林を重要な研究テーマともされていらっしゃいます、ガリー・ピラーさんです。

ピラー
 どうぞよろしくお願いします。

座長
 ガリー・ピラーさんはもちろん日本語は大丈夫ですのでご安心いただきたいと思います。それからもうひとかた、有名な白神山地の入り口に位置します青森県西目屋村役場の職員で、白神山地の担当されていらっしゃいます、西沢一司さんです。

西沢
 よろしくお願いします。

座長
 記録につきましては、寿都町の斉藤農政課長さんにお願いします。


斉藤
 よろしくお願いします。

座長
 それでは早速、島牧村の永井村長さんよりご発表いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
村長
 ご紹介をいただきました、島牧の村長をいたしております永井です。このトークタイムでは「観光資源としてのブナ」というテーマになっているわけですが、15分から20分という時間を頂戴できるそうなので、その中でお話ししたいと思います。
 島牧村は、ご存じの方も多いかと思いますが、簡単に申し上げます。まず沿岸線が約50kmあります。市町村としての沿岸線は全国でも長い方です。釣場を求めて道内外からおいでになる方も多くございます。沿岸線が長いだけに7つの漁港をもっております。総面積は437kuとなっており、北海道では212の市町村のうち55番目ぐらいの広さです。後志管内では蘭越町がトップなんですが、これと少しの差でほとんど肩を並べるくらいの広さをもっています。このうち森林面積が約400ku。細かく言いますと、93.8%が山であり森林です。面積が広いだけに後志管内では、黒松内と寿都町が隣接しております。また渡島管内では長万部町、桧山管内では今金、北桧山、瀬棚と6町が島牧の土地に連っています。
この島牧を含めた7町村が約10万haの国有林を取り囲んでいます。いわば海あり山ありまた温泉ありという風なところで、戦後の乱伐期がありましたが、おおむね自然がそのまま残っているところと自負しているところであります。狩場山(1,520m)をはじめ大平山などの山岳地帯が多くの面積を占めており、千走川、泊川、太平川、折川の4本の大きな川があります。この上流はいずれも渓谷の美しさで知られております。しかし何といっても狩場山のふもと、千走川の上流に位置している賀老の滝は日本名 百選随一の景観を誇っており、訪れる人も年々増えています。ブナ林につきましては狩場山、太平山をメインに広く分布していますが、特に狩場山の山塊のブナ林は10,700haでこれは環境庁の緑の国勢調査においてランキングナンバー1に位置付けされており、全国一です。全国的に有名なのです。この中に狩場山自然休養林1,648haはほとんどブナです。ブナの遺伝資源保存林154haなども設定されており貴重な資源として伐採を禁止して保存されています。北限のブナ帯としては最大の規模を誇っているということです。ですから島牧においては観光資源としてのブナの位置付けは狩場山、太平山の登山に加えて広大なブナ林と賀老の滝との組み合わせになると思います。海の方は今日は除かせていただきます。
私は賀老の滝あってのブナ林であり、ブナ林あっての賀老の滝であると思っています。私は村長歴が非常に浅く、まだ今年で6年なんですが、就任以来この賀老高原のブナや賀老の滝に魅せられていまして、何とかしてこれらを活用して地域の活性化を図りたいと思っています。島牧は過疎地ですので、人口は少なくても1人1人の住民が豊かになることを念じております。やはりこれには観光人口の流入を図ることが第一だろうと思い、まず始めたのは、賀老の滝への道が非常に難儀だったので急斜面に階段状の遊歩道を設置しました。今日おそらく何名かこの中で、滝の方へ行かれた方もいると思いますけれど、その道をつくりました。これは木の伐採をせずにつくりましたのでほとんど人力です。上の方の、木を伐採しなくてもいい部分はコンクリートで階段をつくっていますが、コンクリートのなくなる部分からは全部擬木と砕石といったようにすべて人力運搬です。従って展望台も全部組み立て式で人ではこびました。かなりお金はかかりましたが、まずは木一本も切らずにそんなことをやりました。
 それから、国道から滝への駐車場がありますが、駐車場まで14kmあります。これを一昨年の11月に全部舗装化して、これによって効果てき面といいますか、昨年は10万人を超える滝の観光客が訪れています。今年はご存じの通り7月12日に北海道南西沖地震が発生して、後志管内では島牧が1番の被害を受けたわけです。これは奥尻島に次ぐ被害で、8人の尊い犠牲者を出しました。150戸の人家、200隻の漁船が損傷しましたが、おかげ様で今3ヶ月に入ろうとしてほとんど復旧しまして、平穏を取り戻しております。いつまでも震災でめげてはいられません。
今月17日の日曜日に、賀老の滝周辺のブナ林は紅葉の最盛期をむかえます。全山ブナの黄葉が見られるのです。北海道には24の村がありますが、この時期にこの24の村が一年に一度「むらこん」、村の懇談会といいますか、そういうものを開いておりまして、今年第7回目で、ラッキー7と私は言っていますが、これを島牧で開催することにしております。ブナの黄葉と賀老の滝をメインにして「むらこん」を島牧で開催する予定だったのを、震災が起きたために取り止めにすることにしていました。しかし、復興第一段にしたいということで行うことにしました。
当面、賀老の滝の入り込み人数は、国有林とも提携して森林リゾートの基本計画ができているのですが、それで30万人程の入り込みを見ております。国と村が協力してこの地帯の入り込みを図っていこうということで、俗な建物はあそこにはひとつも建てないということにしています。賀老の滝の周辺はブナの原生地帯になっておりますので、去年は国有林の方にお願いして橋桁40mの吊り橋をつくっていただいて、今年は取付道路を年内に完成することになっていますので、この2,3日中に着手するはずです。ブナの原生林内に2.5km程度の周遊コースをつくりまして、そこに賀老の滝を下に見下ろせる展望台を一ヶ所つくりたいと思っています。場所は遊歩道をつくってみた結果によって適地を選定したいと思っているんです。その希望としては、身体障害者の方は今の階段では滝のところまで行けませんので、今回つくった吊り橋の取付けでは車イスで行けるようなものにしたい。しかしこれはずいぶん営林当局の方からクレームがついたのですが、何とかお願いして車イスで周遊できるようにしたい。そして近い将来展望台をつくって、そこから身体障害者の方も賀老の滝を見学出来るような環境をつくりたいと思っております。また、それが実現したあかつきには、全国の身体障害者を呼び込んでいきたいというような計画をたてております。
このようにいろいろなことをやっておりますが、この滝をメインにまだ4,5年はかかると思いますけど、長期的に森林公園としての整備をし、」約一千町歩ある賀老高原の高台の自然をそのまま温存したいと考えております。滝という字はサンズイに竜とかきますが、昔から老竜人の住むところと言われております。そこで滝の上の方に竜人の伝説記念碑をつくりまして、きのうの10月1日に除幕式を行いました。それは信仰の対象と言うよりも、ここは聖なる地である、竜人の守っているところである、ということで観光に来られる方の向徳心に訴えイメージアップを図りながらゴミは自分でお持ち帰りいただく。近い将来はゴミ箱等は全部撤去して自分で出したゴミは持ち帰っていただこうという作戦です。30万人から将来50万人の人がひと握りのゴミを落としていっても莫大な山になってしまします。そのようなことが竜人の碑を建てたねらいでもあるのです。また一番大変なことなんだろうと思うのですが、この一千町歩の大地を自然そのままにしておくために半分は村有林なのですが、民有地も点在しております。そこで500町歩ぐらいを今年から買い始めております。今年はすでに50町歩買いましたし、明年は380町歩ぐらい買いたいと思ってます。3,4年で全部買ってしまいたいと考えております。ねらいといたしましては自然をそこなわさいように措置し、賀老の滝とかそういうところでは管理経費がかかりますが収入は何もないわけで、地元では漁村ですし新鮮なグルメを楽しんでいただきながら温泉、スポーツ施設、宿泊施設などの整備によって滞在型の保養地の立地を図りたい。
いずれにしても地の利を生かして果てしない夢を描きながら、今は土台づくりに専念しているというところが実態であります。賀老の滝を取り囲むブナの原生林はすべて伐採を禁止しておりますので、年々蓄積が増え半永久的な貴重な村の資源になると考えております。黒松内町においては北限のブナの里づくり構想とその実践が進んでおり、この国際ブナ・フォーラムにつながっているわけですが、率直に申し上げまして本村から見ますと、ブナ資源活用の先行的な投資をしていただいていると受け止めております。その先見性に深く敬意を表したいと思っております。これから高速交通体型の時代の到来をにらんで、新幹線、高速道路など、これらの観光客の流動的なことを考えながら攻撃的な視野に立ち、黒松内町、島牧村のそれぞれの地域の相乗的な効果をねらい相携えてそれぞれの地域の活性化を図って参りたいと考えております。
まだいろいろ申し上げたいこともございますが、一応ここでくぎらせていただきます。

座長
どうもありがとうございました。永井村長から、ただいま一千町歩に渡るブナ林や自然を損なわないように開発し、しかも障害者にも配慮した開発計画をうかがいました。またゴミ持ち帰りというユニークな作戦も立てられているようでして非常に感心して聞いておりました。これから皆さんにご経験、御質問をお受けするわけですが時間が限られております。なるべく多くの方からお話をうかがいたいと思いますのでて手短かにご発言お願いします。また発言の際は手をあげていただきましたらマイクをお持ちしますのでよろしくお願いします。どなたかご発言はございませんか。村長さんへ質問でも結構です。

参加者
 質問させていただけますか。札幌から来ました小山と申します。手短にすませますが、実は村長さんとは2年前に美唄市にある道立林業試験場で森林インストラクターの研修会でお会いしております。
 村長さんは島牧村を代表して一人の職員をお連れになり、自ら研修に参加していて、一緒に2泊3日研修を受けたんです。私は行政の長という立場にありながら、率先して自然観察というか森林インストラクターの研修をお受けになるというその姿勢に本当に感動しました。以前にも知床全国フォーラムというのに参加したら、東北のある町の町長さんがお見えになり、ほうふつとしました。その町は上流にブナがあるということで、上流の森が豊かでなければイネも育たないし、その時は海の話もなさっていました。最近そういう方が日本の地方の行政の中から増えてきたということに感動いたします。それで今日もそのように行政が進んでいるということを認識しました。
二町一村の国際ブナ・フォーラムは広域といってもいいのでしょうか。その協力のもとになされているんだという行政的な姿勢が感じられます。これは島牧だけではなく黒松内もそうです。私は学校の教員をしているのですが、社会科の教員として子供たちに現代社会とか地理や世界史を教えていく立場の中で、一教員としてそのような点を考えると、非常にたくさんのお土産をもって教育現場に帰れるということで参加したことを喜びたいと思います。
質問なんですが、トイレが非常に立派なトイレでボタンを押すとちゃんと水が出るのですが、失礼ですがこれは浄化式なのかということが一点。あと滝まで行く林道の自然林のコースに非常に適切な植物の案内板がありますね、これは非常に難しい面があると思うのですが、例えばもし心ない人がいたら、案内をしたことでかえって咲いている花をとっていくということを促す危険性があるのではということがもう一点です。私は方向性としてガイドブックというのが今たくさん出ていますが、これも心ない人には便宜性を与えてしまうのではないだろうかと思うのです。しかしこれだけ情報の集まっている時に、いいものはみんなで観察し守っていくとく姿勢の中で、そのようなガイドブックや花の散歩道を出されている著書の姿勢なども、精神的な問題だろうと思いますし、素晴らしいことだと思っております。そのようなことに対する姿勢がありましたら教えていただきたいと思います。これは余計なことですが安山岩の柱状節理がありましたので案内板を出すといいと思います。急勾配を下がっていく階段のところですので景観の点や危険性の面、また滝に集中していただきたいということであれば、そういうのをつけるのはかえって余計かもしれませんが、ちょっと気付いたものですのでご報告まで。

座長
ありがとうございました。3ヵ町村でこういったフォーラムを開催するということで、主催側が涙を流しそうなくらい褒めていただきましてありがとうございます。それでは永井村長ご質問にお答え下さい。

村長
さわやかトイレは大きい駐車場に去年完成したのですが、去年の秋に設置して今年の春からオープンしました。簡易水洗になっておりまして浄化槽を設けております。今までは水量が少なくてすんだのですが、だんだん多くなりまして水圧がなくなってきたので明年度水源地をもっと高いところに持っていって、水圧と水量を確保するために一億円かけて行うつもりで、きれいな水を豊富に使えるようにしたいと思っております。
あそこは車止めして歩いていただいてますが、あれは去年からでして、10万人も超えて来ますと車がパンク状態になってしまいますので今年からは歩いていただくことになりました。それから看板の件ですが、まだまだ試しにやっている段階で、看板によっての盗掘はあの滝の周辺に限っては、ほとんど切れ間なく人がいますのでそう大きな被害はないと思います。また監視員を常駐させておりますので、常時見ておりトイレの掃除などもしておりますのであの周辺に限っては大丈夫だと思います。むしろ狩場山の登山者などの方が心配でして、看板があるからというわけではなくそのような被害は若干あると思います。ただ、滝を見に入る方というのは滝だけを見に来るんですね。ブナなど見てないのです。それから通り道の植物もあまり見ていない。ですから車止めして滝までの間少しでも注意をしながら歩いて、これはナナカマドだとかこれは何だろうと見る。そして滝を下る時も、それこそ原生のブナ林の中を階段で下っていくのですからこわいこわいとばかり言ってないで、こわかったら休んで、滝の音を聞きながらブナの肌や太さや渓谷のたたずまいに耳をすませたらいかがでしょうか。私は10分で下って10分で上ってくるものですから、もう慣れてますが、そうするとこわさというのがないのです。忘れてしまって自然に上がってきてしまう。そういった教育をしたいと思っています。
本当は30万人も入るようになると、専門のインストラクターを付けて説明をしたり山の大事なことや先程お話にありました地質、狩場山の起源などを勉強したりして案内出来れば、こんな楽しいコースはないと考えております。今のところは、私自身は森林インストラクター的なものに非常に重要性を感じておりますし、職員の養成もしていますがまだ間に合いません。そこで私は村長をやめてインストラクターをしたらいいのではと言われますが、なかなかやめさせてくれないものですから……。ちょっと加えますと、車止めしたところから滝の方へ下りそこから上がっていきますと先程申し上げた竜人の碑のところに出ます。そこは豊富な炭酸水の岩清水が出ています。そこから、これも先程言いました国有林の吊り橋を渡り巨木ばかりある本当のブナの原生地帯へ入る。というそこまでの周遊道路を明年からの3ヵ年計画でつくり、その道路は舗装化します。そしてそこは歩かない人はシャトルバスを出し、どこでも乗り降り出来るような、そんなものをつくりたいというのが私の願いです。そのシャトルバスから降りてから歩くだけのコースでも、吊り橋を渡ってから2km半くらいあるので、ゆっくりとお楽しみいただく構想を立てております。
だいたい5ヵ年くらいで周辺の土地買収、滝周辺の公園整備を終えたいと思ってます。そうなったら胸を張って全国から人が呼べる、そうすると地元に相当な波紋を起こして、賀老の滝まで30万人、50万人という人が来れば、途中黒松内あるいは寿都を通ってきますし、また瀬棚の方に抜けていったりする。そのようなことで流通して行き、賀老の滝を核にして交通体系も変わり、観光客の来かたも変わってくるんじゃないかと思っております。

座長
どうもありがとうございました。早くも予定した時間も残すところあと10分になってしまいました。

村長
なんかおしゃべりしちゃって……進みたりないですね。

座長
司会者の方も村長さんの話を面白く聞いてしまいました。もうひと方ぐらいから、テーマにあります観光資源としてのブナ林について、ご意見ありませんか。はい、どうぞ。

参加者
一般参加の橋本です。今、こういったブナ文化などの自然博物館などの構想はありますか。

村長
島牧では今のところ考えていません。なぜかというと黒松内でブナの博物館をつくってくれているんです。うちでお金をかけなくてもいいんです。ここで世界のブナから何から見ていただければ、それでいいのではと思います。ただ、一千町歩に及ぶ森林を保存するわけですからあまり建物は建てたくありませんが"、自然体験をする場所はつくりたいです。例えばキノコの森だとか、いろんなことを考えております。

座長
ありがとうございます。ブナセンターという施設が黒松内にございまして、この分科会が終わるとこの会場の前からバスが出ますので是非ご覧になっていただきたいと思います。今年7月にオープンしたばかりで十分な形は揃ってないとは思いますが、いち過程の段階としてみていただければと思います。せっかく助言者としてお二方をお招きしていますので、ガリー・ピラーさんはこの3年ぐらい黒松内に興味を持たれて、主に島牧方面のブナ林で研究を続けてれております。そのブナ林の魅力についてひとことお願いしたいと思います。

ピラー
この3年間、賀老の滝のすぐそばで研究をしました。その間でいろいろな設備が目の前に発展してすごく感動しました。英語で今流行ってる言葉があります。”Thing globally Act locally”日本語で直訳すると「地球規模で考えて足元から行動する」です。島牧の活躍を見ていてまさにその通りだと思いました。森林を保護するための一番難しい点は経済面だと思います。でも観光で森林そのままを使うのであれば、それは一番いい方法だと思います。この3年間島牧の活躍を見て、私はオーストラリアに帰ってからこのようないい例を教えたいです。

座長
 どうもありがとうございました。それでは青森県から来ていただいた西沢さん。

西沢
 うちの方の白神山地のことで若干お話ししたいと思います。皆さんマスコミなどを通じていろいろご存じかと思いますが、今日も会場のロビーに紹介するようなものがあるのですが、俗に言う白神山地というのは正直言ってほとんど一般の方が入れるような場所ではありません。ですからテレビや写真のものは、山の中に1週間とか10日の単位で宿泊して、本当の自然の姿を写しているのが現状です。
 しかしそういうものを見た方から問い合わせがあるのです。観光バスから降りてすぐブナ林の中に入りたいとか革靴やハイヒールのまま、すぐブナの林を歩いてみたいという問い合わせが今すごく多いんです。一日平均10本から20本のそういった問い合わせの電話があるので、うちの方としても臨時職員を一人雇って応対する時期もあったぐらいです。それでもどうしても見たいという方が多いので、けもの道のようなところで1時間ぐらい歩けるコースをセットして、そのコース内には当然樹齢150年から200年近いブナの木もまだ残ってますのでそこで勘弁してもらってるのが今の現状です。そこを歩いただけでも東京などに帰り白神のブナを見てきたよと言っても間違いではありませんので。やはり遭難者が年間1名から2名ぐらい出ますし、そのくらい険しくて地元の方でもほとんど入るような場所ではないのです。
私も去年初めて入ってみたのですが、広い川をずっと登って行って、4,5時間ぐらい川なりに歩いて行き、最後の一滴がなくなってからまた1時間ぐらい山を登り、尾根をさらに1時間半ぐらい行く。だいたい5時間から6時間ぐらいでちょうど中腹に着くんです。そこから頂上までは竹薮でほとんど歩けないような状態の険しいところです。
このようになかなか白神山地という言葉に対して、こちらで観光客の受皿がまだ出来ていないというのが実情ですし、皆さんがどのようなところを想像しているかわかりませんが、地元の人でもあまり入るようなとことではない、ということをご紹介いたしました。

座長
ありがとうございます。予定より5分早く終われという指示があったのですが、先程のアナウンスによれば5時15分まで残すところあと1,2分です。本当に十分な時間がとれませんで、トークタイムと言いましても助言者のお二方に一言ずつお話しいただいたのと、2名の方の参加者のご意見をうかがっただけで終わらせていただくより仕様がないと思います。それぞれご発言いただいたところを今晩8時30分から、明日のシンポジウムに向けてのスピーカー会議というのがありまして、コーディネーター、パネリストの皆さん、トークタイムの担当者を含めまして10月3日のシンポジウムの内容を検討することになっております。そこで島牧村の村長さんのお話、助言者の方々のお話やもちろんご質問のあった点につきましてもご報告し、しっかりとお伝えすることをお約束して終わらせていただきたいと思います。つたない司会で最後になりましたが、地元の黒松内町商工会の経営指導員をいたしております今井でした。
ご協力大変ありがとうございました。これで終わらせていただきます。


ブナの森と生き物たち

国際ブナ・フォーラム1993 in 黒松内」のプログラム「北のブナ林の地元から語ろう」
第3会場
ブナの森と生きものたち

場所
北海道黒松内町総合町民センター

座長及びゲスト
 黒松内農協理事 戸沢 和幸
森と渓流の会会長 畑井 信男
 島牧村農林課長 中野 勝美
     写真家 江川 正幸 

戸沢(座長)
 それでは「ブナの森と生きものたち」をテーマに提言者の畑井信男さんに、ブナの森の魅力と生態系の状態について問題提起をしてもらい、話を進めたいと思います。
 畑井さんは「森と渓流の会」の代表者としてブナ・フィッシング塾等にかかわり、町づくり委員会のメンバーとして活躍され、現在は町議会議員もされています。それでは畑井さんから提言をお願いします。

畑井
 まず森と渓流の会の活動についてお話します。
 今から10年程前に釣り仲間が集まった時に「どうも朱太川の様子がおかしい、水量も少なくなって渕に溜まった淀みから匂いもしている」ということで、これらの問題を考えながら何とか良い川にして行きたいと会員15名で始めました。
 通常の活動内容は、小学生等を集めて川での観察会を行っています。また子供から大人までを集め川で遊ぼうという企画のインストラクターとして、黒松内ふれあい町づくりの中での遊び方、釣りのし方、ナイフの使い方などを指導しています。
 それから、フライフィッシング塾を開いています。フライフィッシングという毛針を使って魚を釣る手法があるのですが、毛針の作り方やサオの振り方、そういったものを皆さんに知っていただきたいと始めたものです。
 こういった活動のきっかけは何かと言いますと、川の汚れなどの問題へ町民の目が朱太川に向けてもらうことによって、川が良くなっていくのではないだろうかと、1つの試みとして行っています。黒松内では今から20年程前から牛の飼育頭数が急激に増加してきました。これは大家畜農家を国の政策として進めてきた結果、牛舎も飼育頭数も大きくなり、し尿の処理の問題が出て来ました。従来のし尿処理の限界を超えて、やはり川の方へたれ流しの問題がいくつも出て来たようです。
そういう問題を少しでも緩和し、意識を変えていくために僕らには何が出来るのかを考えると、何かを川ですることによって町民の目を引き付ける。みんなが川を見ることによって川はどんどん良くなっていくんですね。
 この12〜15年位の間にこの朱太川の流れは変わってきました。ここはアユ・ヤマベ・サクラマス・サケなどたくさんの魚種がのぼってきます。この川を生かしていくことが僕等にとって一番良いことなのだと川の観察や「川で遊ぼう」、フライフィッシングなどを進めてきました。
 山の木についても水の出方が変わってきたことによって目をむけてきました。昔、朱太川は腐葉土が混じったような黒い流れが主だったのですが、山林伐採によって道路がつけられるようになり、それにともなって赤い水がどんどん出るようになりました。それが回復していくには草や木がしっかり根付いて土の流出を止めなければ元の流れの、腐葉土が豊富な黒い色の流れには変わっていかない。その辺を考えながら、とにかく町民の目を朱太川に向けていく、山の方へ目を向けていこうと今まで取り組んできました。
 折角の機会ですのでここで北海道で一番大型の動物であるヒグマについての話をしたいと思います。このあたりは狩場山山系を中心として、北海道の中でも非常にヒグマの多い所です。寿都、島牧を含めてこの界隈にはヒグマが相当数生息しています。その他にキツネ、タヌキ、ウサギ、リス、ネズミなど色々な動物がいます。
まずヒグマは春になると穴から出てきます。出てきて一番最初に何をするのかと言うと、「水を飲んで元気をとりもどすんだ」という話をします。ところがちょっと違ってまして、クマは一番最初に水を飲むのではなくて何十キロも歩くんだそうです。
なぜ歩くのかと言いますと、冬の間ずっとたまっていたフンをまず1回出さなければならないのです。そのフンを出すために穴から出るとずっと歩き続けるんです。色々な所をずっと歩き続け、そうして便通を良くするために運動してたんですね。もともとクマは普段は植物質の食物を主体にとっているのであまり水は必要としないんです。だから春に穴から出て来たら、多少は飲むでしょうが、他のシカなどのようにはどんどん水を飲むという行動をしないようです。まず便通を良くする。この時に1年に最初のフンだけは非常に固まったフンが出てくるんです。このフンは秋に便がやわらかいと通りが良くなりすぎるので栓をするために、この辺だとネマガリダケを食べます。そのネマガリダケの繊維質で便通を止めます。そしてどんどん食料を食べ、貯えます。だから春の一番最初のフンは繊維質が非常に多くその時だけフンの中にタケが見られます。
最近山の中で皆さん間違われるのはタヌキのためフンです。タヌキは同じ場所にフンをする習性があります。一度にするわけではなくて、毎日同じ場所に行って同じようにフンをします。これはわりと固めのポロッとしたフンなんですが、たまたま何日もかけてフンをするので、雨が降るとくずれていってベチャッとした状態になります。このベチャッとしたフンの状態を見て、かなりの人がクマだと勘違いをします。
特に秋になると、食性はタヌキもクマも同じような感じなので、どうもあそこにはクマがいるよ、フンがあったよ、ということで行って見るとほとんどがタヌキのためフンなんです。皆さんも経験があると思いますが、山の中で道路わきにクマの様なフンを見ると驚かれると思います。良く見るとベチャッとした中にも固まりが少し残っています。それを見るとタヌキのフンだとわかります。クマは基本的にはベチャッとしたフンばかりなんです。おそらく年1回を除いてはベチャッとしたフンしかしないので、もし山の中でその様なモノを見たらじっくりと観察してみて下さい。
クマは普段何を食べて生活しているのかといいますと、3月、4月は穴から出てきても食べ物はあまりありませんから、まず岩などに付いたカサカサした苔を食べています。わりと雪の少ない場所では前の年のブナの実を主体に食べています。それから、この辺ではヤチブキ、エゾノリュウキンカといったものに食性が変わります。
この時期もう少しするとブヨがたくさん出るようになります。クマはわりとブヨが嫌いです。ハチミツは大好きで見つけるとすぐ取って食べます。ハチはどこということなく刺すんですが、クマは毛が厚いのでなかなか刺せないんです。ところがブヨは、人間も同じですが皮膚の露出している部分、耳とかまぶたを刺すものですから、クマは非常に嫌うんですね。こういう時期にはやっぱり相当いらだった行動が見うけられると思います。
5月〜8月位になりますとアマニュウ、エゾニュウなど、この辺ではニオウと呼ばれているものの新芽を非常に好んで食べます。あとフジの根っことか色々な新芽を食べます。9月〜11月位にかけてはコクワ、ヤマブドウなど山の木の実がたくさんなりますので、ブナの実だとかドングリだとかこういったものを食べているようです。
一昨年この歌才ブナ林にもクマが出ました。その時のクマはハンターに聞いたところ、通りグマだと言うことで2,3日様子を見たのですが、ブナ林のもっと奥の所で草だとかの食物を食べて、それから移動を始めました。今年は狩場山系の方では国道付近まで相当出て来ているようで、その原因は今年の山のなりものが非常に少なかったことがまず大きな原因だろうと思います。
人里近くの畑、農作物などに興味を持って出て来ているのだろうと言えると思います。冬眠前には脂肪を多くとらなければならないので脂肪を多く含んだものを好み、ドングリなどを積極的に食べているんだろうといえます。
昔は狩場山系からこちらのブナ林にかけて相当生息数が多かったようです。最近はまわりの環境のせいなのか良くわかりませんがブナ林に出るクマは少なくなりました。ブナ林の中にもクマの通り道があり、これはけもの道と呼ばれ、クマだけではなくシカも通ります。
この辺は本来はシカはいなかったのですが、洞爺湖の中島に泳いで渡ったシカがけもの道を通って、豊浦町に黒松内のブナ林を通って狩場山山系の方へ移動するのだと思います。シカは黒松内岳を通って長万部の方へ向かって出て行くのが相当いるのではないかと思います。長万部も本来はシカがいなかったのですが、最近は長万部公園周辺でずいぶん見られるようになりました。黒松内でも牧場の中を走っていたり、僕もアイスバーン状態の国道で一度大きなツノのシカが飛び出して来てビックリしたことがあります。良く気をつけて見ると黒松内の牧場の中にも足跡が見られます。川に水を飲みに来るので、夕方に釣りをやっていると良くシカと行き合います。光が当たると目が金色に光ってものすごい迫力があります。
今の歌才ブナ林は92haあります。比較的小さな原生林ですが、今後の課題として、最近ブナ林周辺の裏山で相当規模の伐採がありました。その後植林が全くされていないまま3年たったのですが、最近現場を見に行きましたら帰化植物、セイヨウタンポポなどの侵入が相当数あります。木が植えてあって日陰になっていれば別なのでしょうが。ブナ林の植物は2年程前にブナ林ガイドブックを作ったときに、道端だけで200種くらいありました。おそらく全部調べると、その2〜3倍あるだろうと思います。92haのブナ林の中は昔からの植生をそのまま他から侵されないできたと、僕等は見ています。帰化植物がブナ林の中に入っていくと植生も変わっていく可能性があるだろうと思います。強い帰化植物によって、10年20年後のブナ林は今のままの植生であり続けられるのだろうかという問題があります。それと、周りの木が伐られたことによって風の影響を受けやすくなります。
普通の山であれば風の影響はそれ程受けないのでしょうが、ここは92haのほんとうに小さな原生林で、特に渡島半島の付け根ということでもあり太平洋と日本海の両側から冬は北西の風、夏は南東からの風が非常に強いのです。隣り町の寿都町は全国でも有数の風の強い所で、ここは風の通り道になっています。そうすると乾燥化が始まっていく可能性が高いのではないか。こういった問題は木を植えれば良いのですが、自分の持ち山ならともかく人の山なものですからなかなかそうはいかない。こういった問題は、例えば買い上げる取り組みをしていかなければならないのではないかと思います。
それともう一つ、保水力が低下してきています。かつてブナ林の中はいく筋もの流れがありいく筋もの湧き水が湧いているという非常にすばらしいブナ林だったのですが、最近そういったものがなくなってきました。特に湧き水はほとんど出てこなくなってます。少し濡れる程度の所がありますが、あれはかつて湧き水がこんこんと出ていた所なのです。ブナの森に入ると水筒がいらないと言われたくらい豊富だった名残です。その、水が命だったブナ林の保水力が低下してきている。そのことも今後十分に注意していかなければならないという気がします。
それとけもの道も含めて動物がだんだんと住みづらくなっている。従来であればけもの道を通って来た熊などは2ヶ月とか相当な日数をここで過ごしてきたはずなんです。ところが最近はまわりの木の伐採によって、ここに長く居られないんです。エサは確かにあるのですが、それほど長く居られないのです。けもの道を通ってすぐ通り過ぎてしまう。そしてもっと遠くの、木のある所に行ってしまう。環境的には現状の歌才ブナ林は危険信号までは行きませんが、もう少し考え方を変えて、取り組みをしていかなければならないという気がします。
もう一つブナ林の観光化にともなう植生の変化です。皆さんは登山靴のようなビブラムソールの靴をはいていますが、それで入って行く時に、よく牧草地で遊んでから入られる方が多いと思います。その時にクローバーやブルーグラスといった草の種が土と一緒に混じって森に進入します。そのためブナ林の入口に800m位の民有林の道路にまでそういった植生が進出しています。最終的にはブナ林の中までこういった植物が入っていく可能性が高くなっています。こういった部分についても、ここのブナ林を全面開放して誰でも入れるほうがいいのか、ある部分では互いに気をつけていくという形になったほうが良いのか。こういう問題はこれから課題にしていこうと思います。以上です。


座長
ただ今、畑井さんから黒松内のブナ林の生態の紹介、そして問題提起がなされました。
1つはヒグマの関係で、山に食物が少ないので民家のほうへ下りてくるのが増えてきたという問題。もう1つは帰化植物の侵入が観光化にともなって靴に付着した種子によって植生が変化するのではないかということ。いま1点は残念ながら周辺の木の伐採によって風の害、保水力の低下も心配されるということ。この3点ほどだされたわけです。参加者の方にぜひ御意見いただきたいと思います。
他の地域の方でそういった問題に対して御意見等ありましたらいただきたいと思います。

参加者
けもの道の話ですが、昨日の朝に歌才自然の家の右手の方を上がり森の方を散歩しました。そこで何かのフンを見つけたので、一生懸命見たのですが何のフンかわかりません。アスファルトの上に3mくらいポツンポツンと落ちていたのですが。

畑井
 家畜はそのあたりにはいないので、キツネかタヌキなのか。ちょっとわかりませんが。

参加者
 専門家が見たら何のフンなのかわかりますか?

畑井
 わかると思います。
 あんがい勘違いするのが散歩につれて行った犬のフンなんです。

参加者 
 犬ではないようです。犬は真ん中にはしないんですよね。必ず道路の外側にします。真ん中にポツンポツンとしてるんですよ。

畑井
 ヒグマなんかも道路の真ん中によくするんです。車も人も通らなくなって何年もたった林道で遊んでいるようなとき、歩きながらしているのか点々としたフンがヒグマには見られます。あと、沢に残雪が残っている場合、子グマが尻すべりをして遊んでいます。道路の方が通りやすいものですから、点々としたフンを良くしてますね。ここでは今年もずい分見てますがヒグマではないと思います。何か他の小動物でしょう。

参加者
 何か妙なんですよ、畑井さん見て下さいませんか。

畑井
 わかりました。

座長
 何か他に御意見はありませんか。
 ヒグマに関しては昨年度は山の方が豊作だった関係からあまり下りて来なかったわけですが、やはり今年はヒグマの出没例が多いような気配がします。やはり、気候条件によって下りて来るのですが、これも共存していかなくてはだめな部分です。帰化植物の関係では靴の問題も出されましたが、靴もブナ林に入る場合は考えなければいけないのかなと思います。何かそういった対応策等ありましたら、また同じような問題のある地域等ございましたらお願いします。
 遅くなりましたがここで助言者の江川さんをご紹介したいと思います。江川さんは同じ管内の仁木町のお生まれで、現在青森の白神山地で主に活動されています。弘前大学農学部応用昆虫学教室を卒業されましてフリーの動物写真家として活躍されています。著作の関係では下北半島のサルなどがございます。このトークタイム終了後には各施設を回りますが、ブナセンターでは江川さんの写真を展示しております。
 それでは白神山地等の状況も合わせてお話し願いたいと思います。

江川
 江川です。よろしくお願いします。
 朝は雨でだめかと思いましたが、ちょうど晴れましてブナ林を歩かせてもらいました。
 非常にうらやましく思うのは、とても良い状態で残されているなということです。のんびり入って適当な登り下りがあって一汗かいてブナを観察、またインストラクターが良いですね。ただ見るだけでなくきちんと説明してくれる。そういったシステムを見て非常にうらやましく思いました。町全体の景観も自然と調和して、自然をこわさないように良くやっているなと、来てすぐわかるんですね。そういった意味で、畑井さんなどの功績などがすごく大きいのではないかと思うし、一つの歴史に残るこの町の活動だと思います。
現場を見ていつも思うのですが、ここを伐ってはいけないのではと新聞などに投書しても言い放しになっていて具体的に根付かないんですね。そういった意味で、現場を知っている人間が5人いれば違うと思います。たぶんその5人がここは各分野にいらっしゃったので良かったのだと思います。
 それと、昔天然記念物に指定されたとき、指定した学者も仲々のものだと思うし、またそれをきちんと評価して村おこしに使い、どこにいってもブナを見られる。どうもブナの本場は白神山地と言われますが、追いぬかれているんじゃないかという気がします。このような状態を今回取材して青森で伝えたいと思います。できれば将来的には青森の市町村と連携を取りたいと思います。
 動物分布から見ると非常におもしろいのですが、幕末の頃函館に住んでいたブラキストンが偉大な仕事をして、ブラキストン線を提唱しました。その後東北地方でクマゲラなどが発見されて、一時ブラキストン線がまちがいじゃないかと言われたこともありましたが、陸上動物に関してはかなり当てはまります。ブラキストン線を意識するせいか、本州のクマゲラと北海道のクマゲラでは、どうも生態が違うんですね。
 秋田の学者の中には別種なのではないかと、意見を言う人もいます。僕はもっと大きなレベルで、ブナの森は氷河期の後退と共に縁にくっつくようにしてつくられたんですね。本来は針葉樹林のほうがすみやすいわけです。ブナ林がたまたま大きくてまっすぐでトドマツのような幹なのでそこに辛うじて残った。居つきたかったクマゲラが巣を作って残った。残留組のブナの好きなクマゲラこそが、我々の観察しているクマゲラだと思います。ここではまだクマゲラの繁殖が確認されていないということで、ぜひ調査して、クマゲラの実態を調べていただきたいと思います。
 町のシンボルでありブナ林のシンボルでもありますから、20人くらいでクマゲラの痕跡を探す行事をしていただき、その時にはぜひ参加したいと思います。
 もう一点、歌才ブナ林が今のまま残っていけるかという不安が問題になっているようですが、それは周辺からじわじわやられていくという感じなのですか。

座長
 そうです。

江川
 牧場とかですか。

畑井
 ブナ林のすぐ近くの木が実際に伐採されまして、そのことによってセイヨウタンポポなどが入って来ています。それがブナ林のすぐ接するところなものですから、ブナ林の中に侵入するのはもう時間の問題なのです。今皆さんが見ている森の核心部からではなく周辺からなのですが、帰化植物は強いですから。その辺から植生の変化が起こってくるのではないかと心配しています。

江川
白神山地に関して言えば人が入るとか、周辺の杉を植えるために一度伐られた部分には本来そこになかった植物も出ます。それが侵入して森を壊すというよりは、機械や道路がじわじわと壊すのではないかという気がします。
白神山地は保護されたと言いますが、周辺部では激しい伐採をやっています。それも非常に心配なのです。ここではできるだけ原生林をそのまま残していく方向で活動なされば心配ないと思います。しかもブナ林の内容はすごく良く感動的です。ブナは雪に強く生命力がたくましい木ですよね。しかし機械には弱いので、周りの開発をするときには良く考えていただきたいと思います。
あと保水力の低下の問題ですが、白神の場合は最近の雪が降らない暖冬では夏に川の水が完全に渇水状態になってしまうんですね。残雪がなくて、土に十分水がしみこまず、川に水が出てこないという状態です。最近湧き水が出てこなくなったということですが、ここは平地的な環境でブナを育成しているようですから、山自体には保水力がないのでこのまま雪が降らなかったりしますとよぼど注意していないと枯れてしまうんでしょうね。積雪量の多いところにブナは発達するものですから雪とブナは友達のようなものです。降雪量が大切です。気になるのは酸性雨の問題ですが、日本でもレモンジュースのような雨が降っているという話があります。白神で調査された話もないので推測で話をするしかないのですが、黄葉が全然きれいでないことと、季節のメリハリがここ数年なくなったということがあります。非常に寂しく感じています。
けもの道に関してですが、本来の伐採によって動物が長くいられないということでしたが、正にその通りだと思います。
今年は山も冷害でクマも下りて来て、青森でもドラム缶でつかまえて山に戻すという方向で猟友会も努力してやっています。面倒だから撃ってしまえという話も出まして、新聞紙上で色々ともめています。動物の保護管理は本当にすごくむずかしい問題です。シカの場合は明らかに増えすぎたということで、雄だけでなく雌も殺さなくてはいけないのではないかという話も出ています。
ただし、素人の考えでただ増えたから殺すとかではなく、出て来たからクマを殺すということではなく、本来の自然を考えて動物にやさしくする。もちろん保護管理の場合は時には殺すこともあります。本当の専門家がこの地域でもいてきちんとアドバイスしながらここはやっていける土地柄だと思います。
私は短時間でしたが今日、ここの自然を案内してもらいました。お会いするどの方も自然に関して一目置いて、本などである程度知識として持っている。そういう人が案内するということがすごいことです。本当に感動しました。
こういう状況をぜひ青森で紹介して、ぜひ手本にしたいと思います。

座長
ありがとうございました。江川さんの方から私達が心配していた点につきまして適切に御助言していただきました。今後私達が進んでいく方向につきましては5人の知っている人がいれば保たれていくということで、このあたりがたいへん心強く感じました。
私達もやっとブナについて知ってきた状態ですし、生態系が狂うような気象条件につきましては、専門家を交えて勉強していきたいと思います。また、森林の保全の問題を町でも取り上げていますが、公有化の話も話し合いの中に出てきています。そのような話し合いの中から実施していきたいと思います。
 本当に限られた時間の中で提言者と助言者だけの話になってしまいました。トークタイムの時間の持ち方に不首尾があったかと思いますが、この後の交流会の中で江川さんや畑井さんにお聞きしたり交流を深め、ブナの森とのむすびつきを深めていただきたいと思います。
 司会が至らないために皆様の御意見を取り上げられなかった点を申し訳なく思っています。
 今日はありがとうございました。


観光資源としてのブナ林

国際ブナ・フォーラム1993 in 黒松内」のプログラム「北のブナ林の地元から語ろう」
第4会場
観光資源としてのブナ林

場所
北海道黒松内町総合町民センター

座長及びゲスト
   黒松内商工会経営指導員 今井 寿光
   島牧村村長 永井 政一
    寿都町農政課長 斉藤 信一
北大大学院地球環境科学研究科 ガリー・ピラー
   青森県西目屋村職員 西沢 一司


今井(座長)
 それではそろそろ始めます。
 提言者を始めとして皆さんにブナ林の魅力についてお話しいただきまして、ブナ林を観光資源としてどう活用するか、どう活用する可能性があるのか。そういった話を伺いたいと思います。あるいはブナ林を観光資源として活用する際の危険性などについても研究していただければと思います。今日は皆さんからテーマに沿った課題や問題それから意見等をいただきまして、明日開かれますシンポジウムで論議いただく、いわば材料を提供するのが、この分科会の役割だというようなご理解をいただきたいと思います。なにぶん時間が限られておりますので、意見を集約するとかあるいは結論を導き出すといったところまでは、この分科会では求められていないという風に考えて進めさせていただきますのでよろしくお願いします。
 それでは提言者とアドバイザーをご紹介させていただきます。提言者としてテーマに沿った課題を提起いただいて、事例等の発表もいただきたいと思いますが、当町の歌才ブナ林よりも、もっと広大で立派なブナ林を持ちます。隣村の永井島牧村村長です。

永井(島牧村村長)
 どうぞよろしくお願いします。
 
座長
 次に皆さんの質問や意見に対して助言や解答を下さいますアドバイザーとして、始めに北海道の大学院で地球環境科学を研究されておりまして、ブナ林を重要な研究テーマともされていらっしゃいます、ガリー・ピラーさんです。

ピラー
 どうぞよろしくお願いします。

座長
 ガリー・ピラーさんはもちろん日本語は大丈夫ですのでご安心いただきたいと思います。それからもうひとかた、有名な白神山地の入り口に位置します青森県西目屋村役場の職員で、白神山地の担当されていらっしゃいます、西沢一司さんです。

西沢
 よろしくお願いします。

座長
 記録につきましては、寿都町の斉藤農政課長さんにお願いします。

斉藤
 よろしくお願いします。

座長
 それでは早速、島牧村の永井村長さんよりご発表いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
村長
 ご紹介をいただきました、島牧の村長をいたしております永井です。このトークタイムでは「観光資源としてのブナ」というテーマになっているわけですが、15分から20分という時間を頂戴できるそうなので、その中でお話ししたいと思います。
 島牧村は、ご存じの方も多いかと思いますが、簡単に申し上げます。まず沿岸線が約50kmあります。市町村としての沿岸線は全国でも長い方です。釣場を求めて道内外からおいでになる方も多くございます。沿岸線が長いだけに7つの漁港をもっております。総面積は437kuとなっており、北海道では212の市町村のうち55番目ぐらいの広さです。後志管内では蘭越町がトップなんですが、これと少しの差でほとんど肩を並べるくらいの広さをもっています。このうち森林面積が約400ku。細かく言いますと、93.8%が山であり森林です。面積が広いだけに後志管内では、黒松内と寿都町が隣接しております。また渡島管内では長万部町、桧山管内では今金、北桧山、瀬棚と6町が島牧の土地に連っています。
この島牧を含めた7町村が約10万haの国有林を取り囲んでいます。いわば海あり山ありまた温泉ありという風なところで、戦後の乱伐期がありましたが、おおむね自然がそのまま残っているところと自負しているところであります。狩場山(1,520m)をはじめ大平山などの山岳地帯が多くの面積を占めており、千走川、泊川、太平川、折川の4本の大きな川があります。この上流はいずれも渓谷の美しさで知られております。しかし何といっても狩場山のふもと、千走川の上流に位置している賀老の滝は日本名 百選随一の景観を誇っており、訪れる人も年々増えています。ブナ林につきましては狩場山、太平山をメインに広く分布していますが、特に狩場山の山塊のブナ林は10,700haでこれは環境庁の緑の国勢調査においてランキングナンバー1に位置付けされており、全国一です。全国的に有名なのです。この中に狩場山自然休養林1,648haはほとんどブナです。ブナの遺伝資源保存林154haなども設定されており貴重な資源として伐採を禁止して保存されています。北限のブナ帯としては最大の規模を誇っているということです。ですから島牧においては観光資源としてのブナの位置付けは狩場山、太平山の登山に加えて広大なブナ林と賀老の滝との組み合わせになると思います。海の方は今日は除かせていただきます。
私は賀老の滝あってのブナ林であり、ブナ林あっての賀老の滝であると思っています。私は村長歴が非常に浅く、まだ今年で6年なんですが、就任以来この賀老高原のブナや賀老の滝に魅せられていまして、何とかしてこれらを活用して地域の活性化を図りたいと思っています。島牧は過疎地ですので、人口は少なくても1人1人の住民が豊かになることを念じております。やはりこれには観光人口の流入を図ることが第一だろうと思い、まず始めたのは、賀老の滝への道が非常に難儀だったので急斜面に階段状の遊歩道を設置しました。今日おそらく何名かこの中で、滝の方へ行かれた方もいると思いますけれど、その道をつくりました。これは木の伐採をせずにつくりましたのでほとんど人力です。上の方の、木を伐採しなくてもいい部分はコンクリートで階段をつくっていますが、コンクリートのなくなる部分からは全部擬木と砕石といったようにすべて人力運搬です。従って展望台も全部組み立て式で人ではこびました。かなりお金はかかりましたが、まずは木一本も切らずにそんなことをやりました。
 それから、国道から滝への駐車場がありますが、駐車場まで14kmあります。これを一昨年の11月に全部舗装化して、これによって効果てき面といいますか、昨年は10万人を超える滝の観光客が訪れています。今年はご存じの通り7月12日に北海道南西沖地震が発生して、後志管内では島牧が1番の被害を受けたわけです。これは奥尻島に次ぐ被害で、8人の尊い犠牲者を出しました。150戸の人家、200隻の漁船が損傷しましたが、おかげ様で今3ヶ月に入ろうとしてほとんど復旧しまして、平穏を取り戻しております。いつまでも震災でめげてはいられません。
今月17日の日曜日に、賀老の滝周辺のブナ林は紅葉の最盛期をむかえます。全山ブナの黄葉が見られるのです。北海道には24の村がありますが、この時期にこの24の村が一年に一度「むらこん」、村の懇談会といいますか、そういうものを開いておりまして、今年第7回目で、ラッキー7と私は言っていますが、これを島牧で開催することにしております。ブナの黄葉と賀老の滝をメインにして「むらこん」を島牧で開催する予定だったのを、震災が起きたために取り止めにすることにしていました。しかし、復興第一段にしたいということで行うことにしました。
当面、賀老の滝の入り込み人数は、国有林とも提携して森林リゾートの基本計画ができているのですが、それで30万人程の入り込みを見ております。国と村が協力してこの地帯の入り込みを図っていこうということで、俗な建物はあそこにはひとつも建てないということにしています。賀老の滝の周辺はブナの原生地帯になっておりますので、去年は国有林の方にお願いして橋桁40mの吊り橋をつくっていただいて、今年は取付道路を年内に完成することになっていますので、この2,3日中に着手するはずです。ブナの原生林内に2.5km程度の周遊コースをつくりまして、そこに賀老の滝を下に見下ろせる展望台を一ヶ所つくりたいと思っています。場所は遊歩道をつくってみた結果によって適地を選定したいと思っているんです。その希望としては、身体障害者の方は今の階段では滝のところまで行けませんので、今回つくった吊り橋の取付けでは車イスで行けるようなものにしたい。しかしこれはずいぶん営林当局の方からクレームがついたのですが、何とかお願いして車イスで周遊できるようにしたい。そして近い将来展望台をつくって、そこから身体障害者の方も賀老の滝を見学出来るような環境をつくりたいと思っております。また、それが実現したあかつきには、全国の身体障害者を呼び込んでいきたいというような計画をたてております。
このようにいろいろなことをやっておりますが、この滝をメインにまだ4,5年はかかると思いますけど、長期的に森林公園としての整備をし、」約一千町歩ある賀老高原の高台の自然をそのまま温存したいと考えております。滝という字はサンズイに竜とかきますが、昔から老竜人の住むところと言われております。そこで滝の上の方に竜人の伝説記念碑をつくりまして、きのうの10月1日に除幕式を行いました。それは信仰の対象と言うよりも、ここは聖なる地である、竜人の守っているところである、ということで観光に来られる方の向徳心に訴えイメージアップを図りながらゴミは自分でお持ち帰りいただく。近い将来はゴミ箱等は全部撤去して自分で出したゴミは持ち帰っていただこうという作戦です。30万人から将来50万人の人がひと握りのゴミを落としていっても莫大な山になってしまします。そのようなことが竜人の碑を建てたねらいでもあるのです。また一番大変なことなんだろうと思うのですが、この一千町歩の大地を自然そのままにしておくために半分は村有林なのですが、民有地も点在しております。そこで500町歩ぐらいを今年から買い始めております。今年はすでに50町歩買いましたし、明年は380町歩ぐらい買いたいと思ってます。3,4年で全部買ってしまいたいと考えております。ねらいといたしましては自然をそこなわさいように措置し、賀老の滝とかそういうところでは管理経費がかかりますが収入は何もないわけで、地元では漁村ですし新鮮なグルメを楽しんでいただきながら温泉、スポーツ施設、宿泊施設などの整備によって滞在型の保養地の立地を図りたい。
いずれにしても地の利を生かして果てしない夢を描きながら、今は土台づくりに専念しているというところが実態であります。賀老の滝を取り囲むブナの原生林はすべて伐採を禁止しておりますので、年々蓄積が増え半永久的な貴重な村の資源になると考えております。黒松内町においては北限のブナの里づくり構想とその実践が進んでおり、この国際ブナ・フォーラムにつながっているわけですが、率直に申し上げまして本村から見ますと、ブナ資源活用の先行的な投資をしていただいていると受け止めております。その先見性に深く敬意を表したいと思っております。これから高速交通体型の時代の到来をにらんで、新幹線、高速道路など、これらの観光客の流動的なことを考えながら攻撃的な視野に立ち、黒松内町、島牧村のそれぞれの地域の相乗的な効果をねらい相携えてそれぞれの地域の活性化を図って参りたいと考えております。
まだいろいろ申し上げたいこともございますが、一応ここでくぎらせていただきます。

座長
どうもありがとうございました。永井村長から、ただいま一千町歩に渡るブナ林や自然を損なわないように開発し、しかも障害者にも配慮した開発計画をうかがいました。またゴミ持ち帰りというユニークな作戦も立てられているようでして非常に感心して聞いておりました。これから皆さんにご経験、御質問をお受けするわけですが時間が限られております。なるべく多くの方からお話をうかがいたいと思いますのでて手短かにご発言お願いします。また発言の際は手をあげていただきましたらマイクをお持ちしますのでよろしくお願いします。どなたかご発言はございませんか。村長さんへ質問でも結構です。

参加者
 質問させていただけますか。札幌から来ました小山と申します。手短にすませますが、実は村長さんとは2年前に美唄市にある道立林業試験場で森林インストラクターの研修会でお会いしております。
 村長さんは島牧村を代表して一人の職員をお連れになり、自ら研修に参加していて、一緒に2泊3日研修を受けたんです。私は行政の長という立場にありながら、率先して自然観察というか森林インストラクターの研修をお受けになるというその姿勢に本当に感動しました。以前にも知床全国フォーラムというのに参加したら、東北のある町の町長さんがお見えになり、ほうふつとしました。その町は上流にブナがあるということで、上流の森が豊かでなければイネも育たないし、その時は海の話もなさっていました。最近そういう方が日本の地方の行政の中から増えてきたということに感動いたします。それで今日もそのように行政が進んでいるということを認識しました。
二町一村の国際ブナ・フォーラムは広域といってもいいのでしょうか。その協力のもとになされているんだという行政的な姿勢が感じられます。これは島牧だけではなく黒松内もそうです。私は学校の教員をしているのですが、社会科の教員として子供たちに現代社会とか地理や世界史を教えていく立場の中で、一教員としてそのような点を考えると、非常にたくさんのお土産をもって教育現場に帰れるということで参加したことを喜びたいと思います。
質問なんですが、トイレが非常に立派なトイレでボタンを押すとちゃんと水が出るのですが、失礼ですがこれは浄化式なのかということが一点。あと滝まで行く林道の自然林のコースに非常に適切な植物の案内板がありますね、これは非常に難しい面があると思うのですが、例えばもし心ない人がいたら、案内をしたことでかえって咲いている花をとっていくということを促す危険性があるのではということがもう一点です。私は方向性としてガイドブックというのが今たくさん出ていますが、これも心ない人には便宜性を与えてしまうのではないだろうかと思うのです。しかしこれだけ情報の集まっている時に、いいものはみんなで観察し守っていくとく姿勢の中で、そのようなガイドブックや花の散歩道を出されている著書の姿勢なども、精神的な問題だろうと思いますし、素晴らしいことだと思っております。そのようなことに対する姿勢がありましたら教えていただきたいと思います。これは余計なことですが安山岩の柱状節理がありましたので案内板を出すといいと思います。急勾配を下がっていく階段のところですので景観の点や危険性の面、また滝に集中していただきたいということであれば、そういうのをつけるのはかえって余計かもしれませんが、ちょっと気付いたものですのでご報告まで。

座長
ありがとうございました。3ヵ町村でこういったフォーラムを開催するということで、主催側が涙を流しそうなくらい褒めていただきましてありがとうございます。それでは永井村長ご質問にお答え下さい。

村長
さわやかトイレは大きい駐車場に去年完成したのですが、去年の秋に設置して今年の春からオープンしました。簡易水洗になっておりまして浄化槽を設けております。今までは水量が少なくてすんだのですが、だんだん多くなりまして水圧がなくなってきたので明年度水源地をもっと高いところに持っていって、水圧と水量を確保するために一億円かけて行うつもりで、きれいな水を豊富に使えるようにしたいと思っております。
あそこは車止めして歩いていただいてますが、あれは去年からでして、10万人も超えて来ますと車がパンク状態になってしまいますので今年からは歩いていただくことになりました。それから看板の件ですが、まだまだ試しにやっている段階で、看板によっての盗掘はあの滝の周辺に限っては、ほとんど切れ間なく人がいますのでそう大きな被害はないと思います。また監視員を常駐させておりますので、常時見ておりトイレの掃除などもしておりますのであの周辺に限っては大丈夫だと思います。むしろ狩場山の登山者などの方が心配でして、看板があるからというわけではなくそのような被害は若干あると思います。ただ、滝を見に入る方というのは滝だけを見に来るんですね。ブナなど見てないのです。それから通り道の植物もあまり見ていない。ですから車止めして滝までの間少しでも注意をしながら歩いて、これはナナカマドだとかこれは何だろうと見る。そして滝を下る時も、それこそ原生のブナ林の中を階段で下っていくのですからこわいこわいとばかり言ってないで、こわかったら休んで、滝の音を聞きながらブナの肌や太さや渓谷のたたずまいに耳をすませたらいかがでしょうか。私は10分で下って10分で上ってくるものですから、もう慣れてますが、そうするとこわさというのがないのです。忘れてしまって自然に上がってきてしまう。そういった教育をしたいと思っています。
本当は30万人も入るようになると、専門のインストラクターを付けて説明をしたり山の大事なことや先程お話にありました地質、狩場山の起源などを勉強したりして案内出来れば、こんな楽しいコースはないと考えております。今のところは、私自身は森林インストラクター的なものに非常に重要性を感じておりますし、職員の養成もしていますがまだ間に合いません。そこで私は村長をやめてインストラクターをしたらいいのではと言われますが、なかなかやめさせてくれないものですから……。ちょっと加えますと、車止めしたところから滝の方へ下りそこから上がっていきますと先程申し上げた竜人の碑のところに出ます。そこは豊富な炭酸水の岩清水が出ています。そこから、これも先程言いました国有林の吊り橋を渡り巨木ばかりある本当のブナの原生地帯へ入る。というそこまでの周遊道路を明年からの3ヵ年計画でつくり、その道路は舗装化します。そしてそこは歩かない人はシャトルバスを出し、どこでも乗り降り出来るような、そんなものをつくりたいというのが私の願いです。そのシャトルバスから降りてから歩くだけのコースでも、吊り橋を渡ってから2km半くらいあるので、ゆっくりとお楽しみいただく構想を立てております。
だいたい5ヵ年くらいで周辺の土地買収、滝周辺の公園整備を終えたいと思ってます。そうなったら胸を張って全国から人が呼べる、そうすると地元に相当な波紋を起こして、賀老の滝まで30万人、50万人という人が来れば、途中黒松内あるいは寿都を通ってきますし、また瀬棚の方に抜けていったりする。そのようなことで流通して行き、賀老の滝を核にして交通体系も変わり、観光客の来かたも変わってくるんじゃないかと思っております。

座長
どうもありがとうございました。早くも予定した時間も残すところあと10分になってしまいました。

村長
なんかおしゃべりしちゃって……進みたりないですね。

座長
司会者の方も村長さんの話を面白く聞いてしまいました。もうひと方ぐらいから、テーマにあります観光資源としてのブナ林について、ご意見ありませんか。はい、どうぞ。

参加者
一般参加の橋本です。今、こういったブナ文化などの自然博物館などの構想はありますか。

村長
島牧では今のところ考えていません。なぜかというと黒松内でブナの博物館をつくってくれているんです。うちでお金をかけなくてもいいんです。ここで世界のブナから何から見ていただければ、それでいいのではと思います。ただ、一千町歩に及ぶ森林を保存するわけですからあまり建物は建てたくありませんが"、自然体験をする場所はつくりたいです。例えばキノコの森だとか、いろんなことを考えております。

座長
ありがとうございます。ブナセンターという施設が黒松内にございまして、この分科会が終わるとこの会場の前からバスが出ますので是非ご覧になっていただきたいと思います。今年7月にオープンしたばかりで十分な形は揃ってないとは思いますが、いち過程の段階としてみていただければと思います。せっかく助言者としてお二方をお招きしていますので、ガリー・ピラーさんはこの3年ぐらい黒松内に興味を持たれて、主に島牧方面のブナ林で研究を続けてれております。そのブナ林の魅力についてひとことお願いしたいと思います。

ピラー
この3年間、賀老の滝のすぐそばで研究をしました。その間でいろいろな設備が目の前に発展してすごく感動しました。英語で今流行ってる言葉があります。”Thing globally Act locally”日本語で直訳すると「地球規模で考えて足元から行動する」です。島牧の活躍を見ていてまさにその通りだと思いました。森林を保護するための一番難しい点は経済面だと思います。でも観光で森林そのままを使うのであれば、それは一番いい方法だと思います。この3年間島牧の活躍を見て、私はオーストラリアに帰ってからこのようないい例を教えたいです。

座長
 どうもありがとうございました。それでは青森県から来ていただいた西沢さん。

西沢
 うちの方の白神山地のことで若干お話ししたいと思います。皆さんマスコミなどを通じていろいろご存じかと思いますが、今日も会場のロビーに紹介するようなものがあるのですが、俗に言う白神山地というのは正直言ってほとんど一般の方が入れるような場所ではありません。ですからテレビや写真のものは、山の中に1週間とか10日の単位で宿泊して、本当の自然の姿を写しているのが現状です。
 しかしそういうものを見た方から問い合わせがあるのです。観光バスから降りてすぐブナ林の中に入りたいとか革靴やハイヒールのまま、すぐブナの林を歩いてみたいという問い合わせが今すごく多いんです。一日平均10本から20本のそういった問い合わせの電話があるので、うちの方としても臨時職員を一人雇って応対する時期もあったぐらいです。それでもどうしても見たいという方が多いので、けもの道のようなところで1時間ぐらい歩けるコースをセットして、そのコース内には当然樹齢150年から200年近いブナの木もまだ残ってますのでそこで勘弁してもらってるのが今の現状です。そこを歩いただけでも東京などに帰り白神のブナを見てきたよと言っても間違いではありませんので。やはり遭難者が年間1名から2名ぐらい出ますし、そのくらい険しくて地元の方でもほとんど入るような場所ではないのです。
私も去年初めて入ってみたのですが、広い川をずっと登って行って、4,5時間ぐらい川なりに歩いて行き、最後の一滴がなくなってからまた1時間ぐらい山を登り、尾根をさらに1時間半ぐらい行く。だいたい5時間から6時間ぐらいでちょうど中腹に着くんです。そこから頂上までは竹薮でほとんど歩けないような状態の険しいところです。
このようになかなか白神山地という言葉に対して、こちらで観光客の受皿がまだ出来ていないというのが実情ですし、皆さんがどのようなところを想像しているかわかりませんが、地元の人でもあまり入るようなとことではない、ということをご紹介いたしました。

座長
ありがとうございます。予定より5分早く終われという指示があったのですが、先程のアナウンスによれば5時15分まで残すところあと1,2分です。本当に十分な時間がとれませんで、トークタイムと言いましても助言者のお二方に一言ずつお話しいただいたのと、2名の方の参加者のご意見をうかがっただけで終わらせていただくより仕様がないと思います。それぞれご発言いただいたところを今晩8時30分から、明日のシンポジウムに向けてのスピーカー会議というのがありまして、コーディネーター、パネリストの皆さん、トークタイムの担当者を含めまして10月3日のシンポジウムの内容を検討することになっております。そこで島牧村の村長さんのお話、助言者の方々のお話やもちろんご質問のあった点につきましてもご報告し、しっかりとお伝えすることをお約束して終わらせていただきたいと思います。つたない司会で最後になりましたが、地元の黒松内町商工会の経営指導員をいたしております今井でした。
ご協力大変ありがとうございました。これで終わらせていただきます。

 (このページのトップに戻る)
   
 
HOME  施設案内  アクセス  リンク
黒松内町ブナセンター
〒048-0101 
北海道寿都郡黒松内町字黒松内512-1
TEL 0136-72-4411、FAX 0136-72-4440
e-mail address : bunacent@host.or.jp
Copyright(c) 1997-1999 Buna Centre Staff All rights reserved.